針ノ木岳(マヤクボカール) 山スキー


日程    2010年5月29日(土)
コース   扇沢---針ノ木雪渓---マヤクボカール---針ノ木岳
メンバー  新井単独
コースタイム  扇沢(5:00)---針ノ木岳(10:15)---扇沢(11:45)


大沢小屋付近から見た針ノ木雪渓
(一番奥が針ノ木岳でそのすぐ左の白いコルで稜線に出るのが今回のコース)
1月の3連休からいろいろな事情があって山から遠ざかっていたが、なんとかチャンスを見つけて山に行こうと考えていた。
一度は、尾瀬燧ケ岳を計画したが、まさかの車の故障で失敗。

もう、日にちもなければ雪もなくなってしまう。ラストチャンスと思われたのが5月29日だった。

前日(というか当日)の金曜の昼に天気予報を見ていくことを決断。
夜帰宅して、計画書を提出して、故障も直った車を走らせた。

場所は4年前に行った針ノ木岳。ここならなんとかなるだろうと思った。

一番の気がかりは時間。今日中に新幹線に乗って京都まで行かねばならないのだ。
日曜日は後輩の結婚式。

本当にギリギリでなんとか巡ってきたチャンスなのだ!
最終の新幹線に乗るには・・・と逆算していくと11時には滑り始めたい。となると、5時には登り始めたい・・・と計算した。

夜中の1時過ぎに大町温泉郷に到着。車内ですぐに仮眠。

4時に起きてコンビニでカップラーメンを食べる。お湯ももらえてまさにコンビニエンスである。

予定通り5時には扇沢を出発。ほかにスキーヤーもちらほら。
まずはアスファルト道を歩く。途中で砂利道に入るがどうも怪しいので、いったん引き返す。すると、あとからきたおじさんに「忘れ物かい?」と聞かれたので、「なんか違うみたいなので」と答えると、「こっちでいいんだよ」とのこと。

ならばと素直についていった。
すると小さな橋を渡って、雪渓の末端に出た!これは正解!おじさんありがとう!
大沢小屋までは運動靴かと思ったが、すぐにスキー靴で歩くことができた。そして、大沢小屋を対岸に見るあたりになると、シール歩行も可能になってきた。よしよし。

峠とマヤクボカールの出合付近
(2人パーティーと道を教えてくれたおじさんも)

山頂にて
(剱をバックに2人パーティーの人に撮ってもらいました)
さて、今日の順位はというと、先頭に2人パーティーがいて、そのあとにしばらく離れて、道を教えてくれたおじさんと僕が続くという展開。なにしろ1月の3連休以来のスキーなので、稜線直下の急登で口はパクパク、足はへろへろになるだろうと予想。一人だとペースもあまりつかめないので、前の二人においていかれない程度で歩けばいいやと思って歩いた。

7:40頃、マヤクボと峠の分岐点。峠に向かうというおじさんとはお別れ。2人パーティーはマヤクボへ向かうようである。2人パーティーと斜度が一気に増したカールを登っていく。2人はシールで粘っているが、僕はあっさりとアイゼン歩行に変更。春特有のアイゼンダンゴにもならない雪のように感じられたし。

春特有といえば、雪の上をちょろちょろ歩きまわる「ゆきむし」とも久しぶりのご対面。相変わらず、邪魔ではある。が、踏んではかわいそうでもある。

モレーン状の丘を右から越えて、いよいよ針ノ木の右肩(向かって左のコル)に向かって、一気の直登の始まりである。ここが一番きついのは百も承知のつもりだったが、ここはほんとにきつかった。ひとり、アイゼンを蹴り込んで、上へ上へと登った。2人パーティーは左肩に向かったようだ。

ふくらはぎは燃えるように熱くなって、口はパクパク。
30歩を数えながら歩いては休んで、歩いては休んでを繰り返した。
ヒィヒィ言いながら登った。4年前もここは辛かった。
でも山登りのいいところは、一歩歩けば、必ず山頂に一歩近づいているところだと思う(道に迷ってなければ)。それを地道に積み重ねていくのは、とても楽しいことだ。

そんなこんなで、どうにか稜線に這い上がった。
ここで一休みと行きたいところだが、一度休むと山頂に行く気が失せそうなので、すぐに空身で往復する。10分もかからずに着くはずなのだ。急な雪壁をよじ登って、山頂へ。

本日、一番乗りだ!

立山・剱がよく見えた。確かに雪は多いようだ。
つづいて、二人パーティーが山頂に到着。今日は、蓮華まで行って、扇沢へ滑るとのこと。うらやましいコースだ。「一緒に行きませんか?」と声をかけられたが、なにせ今日中に京都に行かねばならないので、お断りしてしまった。

こういう山の出会いもいいなぁと思いました。

山頂から針ノ木雪渓を見下ろす。

わかりづらいですが右のほうに大沢小屋があります。
さて、山頂をあとにして、再び一人となり、いよいよ滑降である。
ちょっとビビるが、滑り出せばすぐに落ち着くだろう。

10:45に滑降開始。マヤクボカールに飛び込む。
雪質はいいし、でこぼこもない。快適に滑り出せた。今度はすぐに太ももがパンパンになるが、それでも、下りは早い早い。あっという間に峠からの本谷に合流。
山頂を振り返ると、2人パーティーが山頂すぐ右のルンゼから滑り始めていた。

僕は一気に扇沢を目指す。4年前よりも、雪渓の状態はよく、下部でも想像よりは滑りになった。「ガリッ」もなかったし。

登りの時に思ったとおり、大沢小屋の対岸あたりで、滑降を終了。板を担いで扇沢へと歩いた。粘ればもっと粘れたが、「まぁいいや」という心境だった。
しかし、板を脱いだ時に「歩行モード」で滑っていたことが判明し、ちょっとショック。やっぱり滑り出しは平常心ではなかったのだ・・・。まだまだ甘いのう。

しかし、予想以上のハイペースで、“午前中”に下山できた。1時間前には山頂にいたのだから。

扇沢には「道を教えてくれたおじさん」がすでに下山していた。「ありがとうございました」とお礼を言っておきました。<m(__)m>

このあと、すぐに帰宅。予想よりも早い新幹線で京都に向かい、翌日は、朝から後輩の結婚を祝ってきました。
こうして大学のワンゲルの後輩は結婚し、一緒に出席したワンゲル同期もパパになったり、もうすぐママになったり・・・。
ひとり気ままに山など登っているのは僕くらい。はて・・・。

2010年6月7日 記
トップページへ
山スキーの記録へ